子犬の体重は、生後2週間は毎日、その後は生後1か月まで3日ごとに量って記録するのが目安です。獣医学の参考書 Merck Veterinary Manual は、健康な新生子の体重は1日あたり5〜10%増えるとしています(2026年9月時点)。
なぜ毎日量るのか
Merck Veterinary Manual によると、犬と猫の新生子期は生後21日までで、新生子の死亡は生後1週間がもっとも多いとされています。新生子は体温調節や栄養の蓄えが十分でなく、状態が短時間で変わります。同書は、新生子の飼育管理として、毎日一頭ずつ活力を確認し体重を記録することを挙げています。
見た目では分かりにくい「昨日から増えていない」という変化も、数字で並べれば一目で分かります。夜と朝でスタッフが交代する犬舎では、記録が共有されていることで引き継ぎの抜けも防げます。
量る頻度の目安
| 時期 | 頻度 | 出典 |
|---|---|---|
| 生後0〜14日 | 毎日 | Merck Veterinary Manual |
| 生後15日〜1か月 | 3日ごと | Merck Veterinary Manual |
| 1か月〜引渡し(生後57日以降) | 犬舎で決めた間隔(例:週1回) | 犬舎ごとの運用。環境省の検討案では0・7・14…56日齢の7日ごと |
毎日量る時期は、同じ時間帯に量ると比べやすくなります。授乳の前か後かで数字が変わるので、「朝の授乳前」など犬舎でタイミングを決めておきましょう。
体重の増え方の参考値
Merck Veterinary Manual(Management of the Neonate in Dogs and Cats)は、新生子の体重について次のように説明しています。
- 新生子は生まれた翌日から着実に体重が増えるべきで、生後1日目に出生体重の最大10%までの一時的な軽い減少は許容範囲
- 子犬は、成犬時に予想される体重1kgあたり1日1〜3g増える
- 正常な新生子の体重増加は、1日あたり体重の5〜10%
計算してみると
出生体重が150gの子犬なら、1日の増加の目安は体重の5〜10%で約8〜15gです。成犬で3kgくらいになる犬種なら「1kgあたり1日1〜3g」で1日3〜9gとなり、2つの目安で幅が違います。どちらも目安であり、合格ラインではありません。大切なのは、同じ子の前日・前回との比較と、兄弟との比較です。
次のようなときは記録に印をつけ、担当者どうしで共有し、必要に応じて獣医師に相談します。
- 生後1日目に出生体重の10%を超えて減った
- 2日目以降に前日より減った、または増えない日が続く
- 兄弟に比べて増え方が明らかに小さい
量り方
- 1g単位(小型犬なら0.1g単位でもよい)で量れるデジタルスケールを使う
- スケールに小さな容器やタオルを載せ、0に合わせてから子犬を入れる
- 子犬が動いて数字が安定しないときは、数秒待って落ち着いた値を読む
- 量ったらその場で記録する(あとでまとめて書くと取り違えが起きやすい)
- 保温された産室から出している時間を短くする
記録表の書き方
ひと腹の子犬を1枚の表にまとめ、1頭を1行、日齢を列にすると、横に読めばその子の増え方、縦に読めば兄弟の比較ができます。
- 表の上:母犬の名前、父犬、出生日(日齢0の日)、出生頭数
- 行の見出し:首輪の色、性別、管理番号
- 各マス:その日の体重(g)。量らなかった日は空欄にし、推測の数字は書かない
- メモ欄:授乳の様子、便の状態、補助授乳の有無、獣医師への相談内容
日齢は生まれた日を0日として数えます。出生日を1か所に書いておけば、表計算ソフトでは各日齢の日付を自動で出せます。
記入例(架空の例です)
| 首輪 | 性別 | 0日 | 1日 | 2日 | 3日 | 4日 | 5日 | 6日 | 7日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 赤 | オス | 162 | 160 | 171 | 183 | 196 | 210 | 224 | 239 |
| 青 | メス | 148 | 150 | 160 | 171 | 183 | 196 | 209 | 223 |
| 緑 | メス | 131 | 126 | 129 | 136 | 145 | 155 | 165 | 176 |
この例では、緑の子が1日目に約4%減り、2日目の増え方も小さくなっています。こうした子に印をつけておくと、次の当番が授乳の様子をよく見るなど、対応を引き継げます。
首輪の色で子犬を見分ける
生まれたばかりの子犬は、同じ毛色だと見分けがつきません。多くの犬舎では、生まれてすぐに毛糸やリボンで色違いの首輪をつけ、名前が決まるまでは「赤の子」「青の子」と色で呼びます。
- 色と子犬の対応(性別・毛色・体の特徴)は、出産の日に記録表の行見出しに書いておく
- 子犬は毎日大きくなるので、首輪がきつくなっていないか毎日確かめ、結び直す
- 首輪が外れたときは、体重と体の特徴で照合してからつけ直す
- ひと腹ごとに同じ色の順番(例:赤・橙・黄緑・緑・空・桃)を使うと、スタッフが迷わない
- 名前が決まったら、帳簿や繁殖台帳の管理番号と首輪の色を対応づけておく
国で検討されている「個体管理台帳」
環境省は中央環境審議会動物愛護部会の資料(資料1-2)で、8週齢規制を守らせるための改正案として、交配からマイクロチップ装着まで子犬を1頭ごとに記録する「個体管理台帳」をブリーダーに義務付ける案を示しました。記載イメージには、0・7・14…56日齢の体重と写真の欄があります(資料では「記載項目等は未確定」)。
e-Gov 法令検索で見られる飼養管理基準省令は2023年3月24日の改正が最新で、2026年9月24日時点でこの台帳の義務はまだ施行されていません。いまのうちから日齢ごとの体重を1頭ずつ残しておけば、制度ができたときにも移行しやすくなります。
記録表のテンプレート
ひと腹6頭分(首輪の色ごとに1行、日齢0〜56日)の記録表を、Excel と印刷用 PDF で用意しています。無料テンプレートからダウンロードしてください。
よくある質問
子犬の体重は何日目まで毎日量ればいいですか?
Merck Veterinary Manual は、新生子の体重を生後2週間は毎日、その後は生後1か月まで3日ごとに記録するよう勧めています。それ以降の間隔は犬舎で決めて構いませんが、同じ間隔で続けることが大切です。
子犬の体重は1日にどれくらい増えますか?
Merck Veterinary Manual では、正常な新生子の体重増加は1日あたり体重の5〜10%、子犬は成犬時の予想体重1kgあたり1日1〜3gとしています。個体差が大きいので、前日との比較や兄弟との比較で見てください。
生まれた次の日に体重が減りました。大丈夫ですか?
Merck Veterinary Manual は、生後1日目に出生体重の最大10%までの一時的な軽い減少は許容範囲としています。それを超えて減った場合や、その後も増えない場合は、獣医師に相談してください。
子犬の見分けはどうすればいいですか?
生まれてすぐに毛糸やリボンで色違いの首輪をつけ、記録表の行を首輪の色で分けるのが一般的です。首輪は毎日きつくないか確かめて結び直します。
出典
- Merck Veterinary Manual「Management of the Neonate in Dogs and Cats」(確認日 2026-09-24)
- 環境省 中央環境審議会動物愛護部会 資料1-2「飼養管理基準省令等の改正について(犬猫の8週齢規制に係るもの)」(PDF)(確認日 2026-09-24)
- 第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令(e-Gov 法令検索)(最終改正の確認、確認日 2026-09-24)
本ページは一般的な情報です。子犬の健康状態の判断は獣医師にご相談ください。手続きや解釈は、管轄の自治体(動物愛護管理センター等)にご確認ください。